Oracle Database Applianceの検証

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第5回「構築結果」

著者:金永昊

Oracle Database Applianceの構築結果

表 構築結果

構築の内容

結果

Oracle Database ApplianceでのOracle RAC構築

4時間でOracle RAC構築可能
  • 運んできてから自社のネットワーク環境に合わせてcabling、インフラ構成(RACK)時間:1時間
  • Patch(End-User Bundle、Patch Bundle)の ダウンロードとアップロード、パッチ適用などの 事前準備時間:1時間30分
  • Oracle Appliance Managerの起動から カスタム設定時間:30分
  • Oracle Appliance ManagerでのOracle RAC インストール時間:1時間

 

Oracle RACの構築が4時間で終わりました。
つまり、工場から事務所まで運んできて、それ以降から構築完了まで4時間で終わったということです。
基盤技術のある方、RACを構築したことがある方、ネットワークエンジニアなら一人でOracle RACを構築できます。

Oracle Database ApplianceでのOracle RACの構成タイプはCustomとTypicalがあります。Typicalタイプ構成では、有効なDNS(Domain Name Server)情報を入力しなければ、インストール中にエラーが発生します。有効なDNSサーバーがない環境ではCustom構成タイプでインストールすることをお勧めします。


Oracle RAC導入時に必要な工数

次の表はOracle RACを構築するために必要な時間はどのくらいか、Oracle Database ApplianceでOracle RACの設計と構築にかかる工数とOracle Database ApplianceなしでOracle RACの設計と構築にかかる工数を示しています。(想定値)

図 Oracle Database ApplianceとOracle RACを構築する時に必要な工数
(設計・構築)


Oracle RAC設計に必要な工数

Hardware(5日)
ハードウェアの選定(サーバーマシン、CPU、メモリー、ネットワーク、ストレージ)容量・拡張・信頼性の方式設計、ハードウェア構成設計

OS(3日)
OSの選定、ソフトウェア構成設計、拡張・性能設計、セキュリティ設計、システム環境設計、システム環境定義(デザインシート)、導入手順書

Network(3日)
ネットワークの冗長化・環境設計、ネットワーク方式設計、ネットワークセキュリティ設計、ネットワークの信頼性設計、RACのネットワーク(Public、Private、VIP、SCAN、bonding)

Storage(3日)
接続方式設計、信頼性・RAID方式設計、ディスク容量の設計

Oracle DB(7日)
物理設計(メモリー、パラメータ、DB容量の見積り、表領域、DBファイル配置)、Oracle環境設計(ユーザー、パラメータ、ディレクトリ、ネットワーク)、 クラスタ設計(高可用性、拡張性など)、導入手順書

設計時間:21日 (168時間)


Oracle Database Appliance設計に必要な工数

Network(5時間)
ネットワーク環境、RACのネットワーク(Public、Private、VIP、SCAN、bonding)

Oracle DB(5時間)
データベースの容量見積り、データベースの環境

設計時間:1日 (10時間)


Oracle RAC構築に必要な工数

Hardware(1日)
ハードウェアの組み立てと構成

OS(1日)
OSのインストール、必要なソフトウェアのインストールと設定

Network(1日)
ネットワーク・ケーブリング、ネットワーク環境の設定(機器側・OS側)

Storage(1日)
ストレージの構成、データベースの格納領域の割り当て

Oracle DB(1.5日)
Oracle環境構成、Oracle RACのインストール(DB作成)、Patchの適用

構築時間:5.5日 (44時間)


Oracle Database Appliance構築に必要な工数

OS(90分)
OAK Patch Bundleの事前準備(Oracle Supportからパッチのダウンロード、パッチの適用)

Network(60分)
社内環境に合わせるネットワーク・ケーブリング知識、ネットワーク設定

Oracle DB(90分)
Oracle Databaseの概要、Oracle RACの概要

構築時間:4時間


Oracle RACの構成完了は、Oracle Database Applianceの
構成完了ではない

設定できる項目が少ない

Oracle Appliance Manager画面で入力する項目が少ないです。設定する項目が少ないのはよいかもしれませんが、すべてがデフォルトで構成されると、そのままではなく、カスタマイズが必要になります。


やはりユーザー側のカスタマイズは必要

OSのoracleユーザーとOracleユーザーのパスワードは、”welcome1” です。 大体のOracleデータベース構成はデフォルトのテンプレートを使用して作成されます。 必要に応じて表領域とサーバー・パラメータをカスタマイズする必要があり、ネットワークも社内のセキュリティ方針に合わせてカスタマイズする必要があるはずです。多くの設定がデフォルトで構成されるため、構成後システムの拡張性、信頼性などを確認してカスタマイズの必要性を判断することが重要です。

Oracle Database ApplianceのOracle RACに最小限影響を与えずにOracle データベースをカスタマイズするとしたら、次の例が挙げられます。

  1. 各ノードのoracleユーザーとgridユーザーのパスワード

    :ユーザーのパスワードが“welcome1”になっていますので、変更する必要があります。

  2. Oracle Databaseのoracle関連ユーザーのパスワード(sys、system、dbsnmp、sysmanなど)

    :oracleのユーザーのパスワードが“welcome1”になっていますので、変更する必要があります。できれば、Oracleの各ユーザーのsystem privilegesロールも変更した方がいいでしょう。

  3. Oracleメモリーのサイズ(SGAのコンポーネント、PGA)と管理(手動メモリー、自動メモリー)

    :ある程度データベースのトランザクション量が分かるなら、最初にOracleメモリーの管理方式とサイズを設定します。
    ※Oracleインスタンスは手動メモリー管理で、自動共有メモリー管理(sga_target=48GB)と自動PGAメモリー管理(pga_aggregate_target=24GB)になっていて、ASMインスタンスは自動メモリー管理(memory_target=1GB)になっています。

  4. 業務表領域の追加作成とデフォルト表領域

    :デフォルト表領域のデータファイルは、すべて自動拡張になっています。表領域の変動(データ増量など)をしっかり監視したい場合や業務ごとに表領域を作成して管理したい場合は、表領域を変更する必要があります。

  5. 高速リカバリ領域(旧:フラッシュ・リカバリ領域)

    :Oracleデータベースの制御ファイル(多重化)、REDOログ・ファイル(多重化)、サーバー・パラメータ(自動バックアップ)、フラッシュバック・データベースログ、RMANバックアップ・ファイルなどを格納してデータベースを運用したい場合は、サイズの変更(ASMのRECO ディスク・グループ)は必要です。

  6. データベースのEnterprise Editionオプションとコンポーネント

    :ライセンスを購入していないEnterprise Editionオプション(Partitioning、Data Mining and Real Application Testingなど)と、望まないデータベースコンポーネント(Oracle Text、Oracle OLAP、Oracle Spatialなど)が構成されているかどうかを確認して要らなければ、無効にしたり、削除したりする必要があります。

  7. デフォルト・プロファイル

    :Oracle 11gのデフォルト・プロファイルには、パスワード有効期限(PASSWORD_LIFE_TIME):180日、パスワード期限切れ後の猶予期間(PASSWORD_GRACE_TIME):7日のように変わったので、データベース運用において変更する必要があればそのまま使えませんので変更します。

  8. 自動メンテナンス・タスク

    :Oracleデータベースには自動オプティマイザ統計収集、自動セグメント・アドバイザ、自動SQLチューニング・アドバイザの自動化メンテナンス・タスクが事前定義されています。特に自動オプティマイザ統計収集は毎日テーブルなどの統計情報を取って更新しますが、統計情報を固定にして手動で統計情報を取りたい場合は、変更が必要です。

  9. ASM Disk Groupのサイズ制限

    :Oracle Database Applianceには使えるディスクサイズは決まっているので(ディスク本数の追加は不可能)、ディスクを効率的に使わなければならないです。Very LargeタイプでOracleデータベースを作成すると、次の三つのディスク・グループが構成されます。
    ・DATA:HIGH冗長性、9,600.00 GB、業務データ格納用、メンバー・ディスク20
    ・RECO:HIGH冗長性、1,578.12 GB、高速リカバリ領域格納用、メンバー・ディスク20
    ・REDO:HIGH冗長性、273.45 GB、REDOログ格納用、メンバー・ディスク4(SSD)
    データを圧縮したり、表領域の断片化を解消したりするDB運用管理も必要です。

  10. 性能関連の初期化パラメータのチューニングなど

    :データベースの性能を確保するためにパフォーマンス・チューニングを行う必要がありますが、チューニングの手法としてパラメータ値を変更するチューニング方法があります。

Oracle Database Applianceであっても、こういったカスタマイズでOracleのエキスパートが必要です。 設計・構築が非常に短時間で済むようになり、高スキルのDBAが業務に関わりの深い作業に集中できるのがApplianceのメリットと言えます。